「網膜的絵画」とはマルセル・デュシャンが絵画を否定的に見る際に使われる言葉である。「印象主義の到来以来、視覚的作品は網膜でとどまっている。印象主義、フォービズム、キュービズム、抽象絵画などと言っても、必ず網膜的な絵画だ。色彩反応云々といった物理的配慮のために、脳組織の反応が二次的なものに貶められている。」「網膜があまりに大きな重要性を与えられているからです。クールベ以来、絵画は網

芸術と社会

前回の内容で、芸術は政治や経済の中に含まれるもので、社会を超えるものではないと書いた。「こんなことはあたりまえ」とおっしゃる方が多いとは思うのだが、芸術にどっぷり入れ込むと、これが真逆になってしまうのだ。かく言う私も芸術を極端に特殊な世界だと思っていたことがあった。よく変わった人を「彼は芸術家だから」という表現を使うことがある。その背景には、「芸術家は少し普通の人とは変わっていて、だか

 絵画殺しの犯人は誰か?前回では、絵画殺しを行なったであろう犯人は、作家の中にいたのではないかと推理し、重要参考人として、マルセル・デュシャンを取り上げた。

その前に、アートが権威や組織を作り出すことがいかがわしいという考え方がある。
アートは、世俗的なものでなく、純然たるものであるべきという考え方である。

この考え方の背景には、アートは特別なものだという固定観念があるのではないか?

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