ARTIST

私が制作する中で、一番難しいと思う事は、作品の完成である。「どこで終わるか?」作家は自分の作品が「どの地点に達しているか」を見極める能力が必要である。もしそれが無いとすると制作は「行」の様なものになりかねない。「行」とは悟りに到達するための修行の意味で、そこには「完成」という概念はないと私は思う。完成なき追求は、自己と世界との関係性を問う孤独な作業とも言える。また一方で作

絵を描くためには、そのための環境が整う事が重要だと思います。環境とは、一つは自分を取り巻く空間、もう一つは、時間です。自分の経験からですが、制作を継続するにはこの2つが、両方とも揃わないと難しいと思います。私は仮住まいが長く、自分の家を建てたのが45歳になってからでした。家を建てる際に、先ず考えたのが、広いアトリエを作るということでした。幸いにも妻が理解をしてくれ

私の履歴書

私は、大学を卒業してから教職につきました。教師になった理由は、いくつかあります。当時の私は社会に出ることに対してなんだかわからない不安がありました。今から思うと考えが狭かったと思います。教職は、学校という場所が職場になります。私は「学校」という場所が、実は好きだった気がします。また教職は制作を続ける上で、比較的『楽な』仕事だと思ったからです。民間企業は残業やノルマがあり、神経をすり減らすといった

リュック タイマンスは国際的に著名な作家で、現代アートの中で絵画表現の可能性を切り拓いた作家と言われている。タイマンスの表現について、いくつも語られている文章がある。これらを読んでも、今ひとつ納得できないのは私だけであろうか。私がタイマンスの作品を知ったのは、美術手帳で特集されていた記事が最初です。第一印象は、とにかく退屈な印象を持ちました。焦点がボケた、ポラロイドの写真を見てい

〜セザンヌについて〜セザンヌ(1839〜1906年)は、後期印象派に属されますが、彼は印象派の作家の中で、サロンという伝統的な展覧会に出品し続けた作家です。セザンヌの描いたものは、人物、静物、風景です。セザンヌの絵画の特徴は、輪郭線と色面によって画面が構成されます。初期の頃の作品は、ロマン主義的な主題を取り上げ、暗い色調で絵の具を厚く盛り上げています。歳を追うごとに、色彩は多彩に

邂逅 閉口

嶋本昭三先生の話で、私が大学生の頃について書きました。私は洋画ではなく、彫塑を専攻しました。それには理由があります。洋画科には、嶋本先生の他に、阿部荘先生がおられました。私は、入学して間もない頃、石膏デッサンをしていました。先生は、その様子を見られて、「’君はどんな作品を作りたいのかな?」と尋ねられました。私は「自分にはまだ基礎的な力が無いので’、デッサンをしています。」と答えました。先

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