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落選から学ぶ

2024年は厳しい年になりそうだ。上野の森美術大賞展と三井 伊勢丹 千住博日本画大賞展の2つの公募展に出品したが、いずれも選外という結果であった。2つとも途中までは良い出来だったが、ところが完成に向けて、仕上げる段階で、甘さが出たように思う。作品が帰ってきたら、手を入れて次の機会を待とうと思う。公募展に出品していれば、入選もあれば落選もある。落選は何度も経験しているが、悔しさは変わらない

私が制作する中で、一番難しいと思う事は、作品の完成である。「どこで終わるか?」作家は自分の作品が「どの地点に達しているか」を見極める能力が必要である。もしそれが無いとすると制作は「行」の様なものになりかねない。「行」とは悟りに到達するための修行の意味で、そこには「完成」という概念はないと私は思う。完成なき追求は、自己と世界との関係性を問う孤独な作業とも言える。また一方で作

7月7日の七夕に、東京都美術館にて、受賞式が行われました。今回、山下裕二審査員から、「山下裕二賞」を頂きました。講評では、事物の細かな描き込み等の技術力、構成力を評価して頂きました。入選作はどの作品も熱量の感じられるもので、刺激を受けました。山下裕二先生より講評頂きました

クリストのスケッチの特徴は、空間を的確に捉えるパーステクティブの魅力だと私は思う。クリストとジャンヌ クローゼのユニットはまずクリストが描くスケッチからプロジェクトをスタートさせたと言われている。そこで要求されるスケッチとは、そのプロジェクトの意図が明確に伝えるものでなくてはいけない。スケッチを見ただけで、どのような空間が生まれるのか、言葉を超えて視覚で訴えなければならない。クリ

クリストのスケッチは、本当に素晴らしい。その魅力に触れる前に、古今東西、様々な作家がスケッチを残している。"スケッチの達人"の作品を先ず見てみる。スケッチの達人と言えば、まず思いつくのがレオナルド ダ ヴィンチである。特徴のある左手で描かれた大胆な筆致と精緻な描写。解剖学や自然現象をも加わった造詣の深さは群を抜いている。ダ ヴィンチの作品の凄さは、『最後の晩餐』に見られる、深くテーマを掘

クリスト&ジャンヌ クロードは、「布によって包む覆う」という行為によって、身近な物を全く異なるオブジェに変質させるという作品を作りました。「包む、覆う」対象は、身の回りの瓶や椅子から、やがて車、街路樹など大型化していき、さらに次の段階として建造物や自然環境を包む「プロジェクト」に発展していきます。彼らの代表作と言えるコロラドの渓谷にオレンジの布を張った《ヴァレー・カーテン》(1970−7

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