VANITAS
2022年から着手しているシリーズです。ヴァニタスとはラテン語で「空虚」「むなしさ」を意味する言葉であり、地上の人生の無意味さや、虚栄のはかなさなどと深く結びついた概念である。寓意的な静物画のジャンルのひとつで、16世紀から17世紀にかけてのフランドルやネーデルラントなどヨーロッパ北部で特に多く描かれたが、以後現代に至るまでの西洋の美術にも大きな影響を与えている。ヴァニタスとは「人生の空しさの寓意」を表す静物画であり、豊かさなどを意味するさまざまな静物の中に、人間の死すべき定めの隠喩である頭蓋骨や、あるいは時計やパイプや腐ってゆく果物などを置き、観る者に対して虚栄のはかなさを喚起する意図をもっていた。ヴァニタスは、「カルペ・ディエム」や「メメント・モリ」と並ぶ、バロック期の精神を表す概念でもある。ピーテル・クラースゾーン(Pieter Claesz)、エドワールト・コリール(Edwaert Collier)、コルネリス・デ・ヘーム(Cornelis de Heem)らが代表作家である。現代におけるVANITASを追求した作品である。