現代美術の作家はブログではあまり取り上げていませんが、興味がないわけではありません。むしろ、現代アート(定義については触れません)には、特に身体性、五感を刺激し、これまで持っていた自分の感覚が変わってしまうような作品に惹かれます。そのような作品は、絵画ではなく、立体作品やインスタレーションに見られるように思います。一方で、絵画については、どうなのか。アートの歴史を振り返ってみると

既知という共通感覚によるアートアンディウォホールと言えば、キャンベルスープなどの大量消費物、マリリン・モンロー、エルビス・プレスリーと言った有名人をシルクスクリーンによって平面的に表現した作品が有名である。キャンベルスープにしろ、モンローにしろ共通している事がある。それは多くの人が「知っている」という事である。「知っている」という共通認識があるという前提で作品を見るのと、ないのとでは作品

安井賞の終焉

1996年に、行動美術協会に入選しましたが、翌年の1997年、安井賞は打ち切りとなりました。Wikipediaにはこのように記されています。安井賞は、安井會太郎の画風に基づき、具象的な作品を評価対象とした。新人洋画家の登竜門とされ、画壇の芥川賞とも言われ、多数の優秀な作家を輩出した。しかし、1996年、ますます多様化し複雑化しつつある日本の現代美術の状況を顧み、具象的傾向の作家の発掘を目

ゲルハルト・リヒターといえば、現代絵画の巨匠として世界的に有名な作家です。リヒター の作品の印象は、「難解」の一言に尽きます。リヒター の作品の特徴は、目まぐるしく作風が変わること。初期の蝋燭や人物を描いたフォト・ペインティングや、カラーチャート、グレイ・ペインティング、アブストラクト・ペインティング、さらにガラスや鏡を使った作品など、多岐に渡る表現手法で、リヒターは絵画の可能性を切り開いていま

私の出身大学は京都教育大学の特修美術科です。特修といっても、特別偉い訳でもありません。確か小学部と中学部があって、それぞれ教育免許を取って卒業するのですが、特修は単位がとれていれば、教員免許は取らなくても良かったのか、どうか。昔の事で忘れました。本当は、芸大に行きたかったのですが、実技のデッサンが苦手で、受験時代はずいぶん苦しみました。一年浪人して駄目でしたので、諦めました。多分、あのま

目から脳へ

マルセル・デュシャン が「網膜的」と否定した絵画はクールベを代表とした写実主義以降の絵画、彼の言葉を借りるなら「印象主義、フォービズム、キュービズム、抽象絵画」、19世紀から20世紀の絵画史を全て否定する事になる。それでは、デュシャン が肯定する芸術とはどのようなものだろう。網膜的絵画とは、簡単にいえば「目の快楽だけを追求している」美術のことである。デュシャンにとっては、目から快

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