ARTWORKS

第2回 三越伊勢丹 千住博日本画大賞 に入選しました。

日本画のコンクールに出品した理由

私は大学ではアカデミックな彫塑を専攻し、大学卒業後は絵画を制作して来ました。油絵を大学在学中に学んだこともあるので、自分の作品は洋画だと思っていました。

そんな私が日本画のコンクールに出品したのは、やはり、千住博先生に作品を見て頂きたいと思ったのが、最大の理由です。今までたくさんの公募展に出品しました。落選に次ぐ落選で、ここ3年ぐらいは、ひたすら落ち続けました。今回、私はアートオリンピアにも出品しましたが、2450点中200位で佳作止まりでした。前回は準佳作でしたので、進歩はしたと思います。とは言え、自信のある作品でしたので、画像判定のみの一次審査で終わったのは残念でなりません。アートオリンピアの落選の夜は、悔しさで寝れませんでしたが、千住博先生に選んで頂き、身にあまる光栄を嚙みしめています。

テーマ:「あなたにとって日本画とは何ですか」について

私の出品作品『VANITAS』ですが、タイトルにありますように、16世紀から17世紀にヨーロッパ北部で描かれた細密な静物画のことをヴァニタスと呼びます。ヴァニタスとは「人生の空しさの寓意」を表す静物画であり、豊かさなどを意味するさまざまな静物の中に、人間の死すべき定めとしての象徴である頭蓋骨あるいは時計やパイプや腐ってゆく果物などを置き、観る者に対して虚栄のはかなさを喚起する意図をもっていました。

私が敢えてヴァニタスという日本画とは関係のない主題を選んだことには、明確な意図があります。西洋美術史の文脈から題材を抽出し、今日的なモチーフで私なりのヴァニタスを再構築することを考えました。そしてその構想を日本画の伝統的な画材によって表現することを試みました。

日本画という言葉は、明治時代にフェノロサ、岡倉天心によって世に広まりました。彼らは、日本画という表現が西洋絵画に引けを取らないばかりか、より優れていると主張しています。また岡倉天心は明治20年(1887年)の講演で、『第一 純粋の西洋論者。第二 純粋の日本論者。第三 東西並設論者即ち折中論者。第四 自然発達論者』の四つの道をあげ、日本絵画の進むべき道は第四の道であり、定義などなく自由に描けばよいと言っています。

しかしながら、この言葉だけを聞くと何をしても良いということになり、定義づけを放棄しています。

私は今回制作した作品を通じて、日本画による表現の可能性を模索しました。まだまだ岩絵具や膠の使い方など未熟なところはありますが、シルクスクリーンプリント、エアーブラシを使うことで、自分なりのリアリティを定着できたと自負しております。

私にとって『日本画』とは、和紙と岩絵具を用いた新たな表現を試行する場です。

『VANITAS』2022年 和紙に岩絵具、アクリル絵具

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