ARTWORKS

スケッチの達人

クリストのスケッチは、本当に素晴らしい。その魅力に触れる前に、古今東西、様々な作家がスケッチを残している。”スケッチの達人”の作品を先ず見てみる。

スケッチの達人と言えば、まず思いつくのがレオナルド ダ ヴィンチである。特徴のある左手で描かれた大胆な筆致と精緻な描写。解剖学や自然現象をも加わった造詣の深さは群を抜いている。ダ ヴィンチの作品の凄さは、『最後の晩餐』に見られる、深くテーマを掘り下げる構想力とそれを実現させる描写力にある。それらは全てスケッチのなかに既に存在している。

デューラーも、また卓越した技量を持っている。形態と陰影の捉え方が的確で、ハイライトを白で抜いた「手」の素描、今にも動きそうな兎を描いている。まさしく一級品のスケッチである。

中世の作家では、レンブラントを挙げる。絵画で追求した「光りと影」を素描でも追求している。レンブラントは様々なタイプの素描を残している。油彩画(タブロー)の下絵として描かれたものもあれば、荒々しいタッチで描かれたものもある。それにしても、物体の大胆な捉え方は近代作家にも影響を与えたに違いない。

近代作家では、ゴッホを挙げる。9歳で描いた「犬」の素描は驚きを禁じ得ない。まさしく天才、神童とよばれるにふさわしい。また風景を微細に描ききる激しい熱量は、その後の短い生涯を予感させる。

今回4人の作家を取り上げましたが、共通して言えることは、「スケッチの中にその作家の仕事の本質が宿る」ということだと思います。そして今回取り上げたクリストのスケッチについても考察していきたいと思います。

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