ARTWORKS

江川直也さんの視点

日本画家 江川直也さんの作品について

先ず、その素朴な美しさに惹かれる。

だが、幾つかの作品をまとめて見ると、この作家の持つ先鋭的な感性を嗅ぎ取ることができる。

作家本人の言葉に「シルエット」「地平線」という言葉が出てくる。

「シルエットで、一番遠い森のシルエット、中間の距離のシルエット、一番近い森のシルエットという風に三段かいに分けて、そういう感じの構図があれば、これは描けるなという感じで見つけて来ます」

「やっぱり地平線があると、広がりがすごく出る、一つの要因になっているのかなという気がします」

以下は、江川さんの作品についての私の感想です。

作品から感じるのは、計算された構成力と確かな技術です。

3つのブロックによる「奥行き」

地平線による「広がり」

そして画面に現れる重要な要素として「霧」があります。この霧の存在によって画面に自由度を与えています。

「黎明に翔る」を例に挙げます。黄金色の諧調と水平線を意識した大変美しい作品です。

画面のサイズは89x117cmで、これはP50号に相当する横長のサイズです。この時点で画面に水平の意識を植え付けている。画面構成を見ると、左から右へ鳥が飛んでいる。その動きに呼応するように、3つの森のシルエットが描かれている。そのシルエットを繋げるのが、「霧」なのである。

江川さんの作品において、「霧」「靄」といった空気感を表現するものが、実に効果的に配置されている。これらは、現実世界からより内面的な精神世界をも感じさせることで、作品に深みをもたらしている。この霧の存在無くして、この作品は成立しない。

技術的な面で言えば、画面に余分な要素がなく、木々や鳥など簡潔に描き出されている。

そのシンプルな思考は、絵師としての確かな技術に支えられ、独自の境地を見出したのである。

「黎明に翔る 89x117cm」

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