LIFE

貴司くんの決意

東大阪の工場で生まれ育ったヒロインが、やがて航空業界へと足を踏み入れる連続テレビ小説『舞い上がれ』(NHK朝ドラ)。1月24日放送の第78回では、舞が「飛行機作り」という父の夢のためセミナーに参加する一方、貴司の短歌選びにも協力するシーンが描かれた。

短歌の賞に応募するため、舞とともに作品を選ぶ貴司(赤楚衛二)。「ホンマは結構、プレッシャーあんねん」と本音を吐露しながら、「短歌は自分の全て、それを賞に出すってことは、全力でぶつかることやから。けど賞なんかどうでも良くて、短歌に込めた思いが伝わったら、それでええんやな」と自分を奮い立たせる貴司を、舞は笑顔で後押しする。

貴司くんが舞に語る言葉には、『表現するとは何か?』という深いテーマが存在していると感じました。

私も作品をコンクールに出品する時は、自分の持てる力を出し切って、完成させます。作品は、自分の分身と言えるぐらいまで追い込みます。

出品する時には、期待と不安が混在した複雑な心境になります。貴司くんのように、賞なんてどうでも良いとは、私はとても言えませんし、貴司くんの言葉は、彼の不安の裏返しだと思います。なぜなら、『賞なんて.....』といいながら、コンクールに出すわけですから。

作品は自分の手を離れた瞬間から、作品そのものが独り立ちします。作家ができることは、出品するときまでです。そこから先は自分の力が及ばないところになります。

私は、落選を何度も経験しました。落選に次ぐ落選で、3年間、全く作品を発表できませんでした。落選した時に思ったことは、『自分しか作る事ができない、唯一無地の作品を作らねば』という思いでした。今思えば、この空白期間は、自分にとって必要な時間であったと思います。

昨年、三越・伊勢丹 千住博 日本画大賞展と枕崎国際芸術大賞展に入選出来たことは、大変うれしかったのですが、自分ではまだまだだと思っています。

一つの作品を完成させることは、私にとっては大変困難なことですが、今後も画業に精進して参ります。

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