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絵画のドキュメンタリー性について 

第三回タガワアートビエンナーレに出品しましたが、残念ながら落選しました。

実は出品した作品は枕崎国際芸術大賞展に出品し、こちらでも落選しています。

落選の原因は、色々と考えられますが、今回の出品で感じたことをお話ししたいと思います。

先ず私の出品した作品ですが、廃墟のなかに戦車を画面に大きく配置しました。恐らく見た人は、ロシアのウクライナ進行のことを想像されると思います。

この作品で私が試みたことは、絵画というメディアの持つドキュメンタリー性についての今日的な意味を問うという事でした。

先ず絵画の持つドキュメンタリー性についていくつかの例を挙げて検証します。一般的にドキュメンタリーとは「 “制作者の意図や主観を含まぬ”事実の描写」と認識されています。

フランシス ゴヤという作家の作品に『 1808年5月3日』という作品があります。この作品は、1808年5月3日未明にかけて、ナポレオン軍に反対するマドリード市民の暴動をフランス軍銃殺執行隊によって400人以上を銃殺刑に処す事で鎮圧した場面を生々しく描いた作品です。

      「1805年5月3日」

この作品は、革新的な現代戦争画と評される作品であり、美術史家のケネス・クラークによれば、《1808年5月3日》は主題、スタイル、意図などすべての点において革新的な最も偉大な絵画の1つと評しています。《1808年5月3日》は、パブロ・ピカソの《ゲルニカ》や《朝鮮虐殺》、エドゥアール・マネの《皇帝マキシミリアンの処刑》など、のちの多くの有名作品に影響を与えています。

この作品の持つ感情を伴った圧倒的な表現力は、絵画の持つドキュメンタリー性の事例として重要な位置を占めています。単なる記録としての描写ではなく、絵画内容、表現、感情的な力は戦争の恐怖を人に伝える典型的な戦争絵画として革新的な地位を確立しています。

ドキュメンタリーという概念に照らすとゴヤは、「事実の描写」からより表現としての強度を増した作品を作りました。そしてゴヤの作品にインスパイアされたピカソの傑作「ゲルニカ」において、絵画のドキュメンタリー性が高く評価され得ることを示したと言えます。

「ゲルニカ」

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